食事
食事
1歳をすぎるとお子さまの栄養元はミルクからご飯に変わってきます。体を大きくし、元気に過ごすためには以下が大切です。
十分な量の食事とカロリーをとる
シトリン欠損症の体のしくみにより、どの年齢の患者さんもエネルギー(カロリー)不足になりがちです。
エネルギー不足になるとぼんやりしたり、ぐったりしたりするようになります。
エネルギー不足にならない様、3食+間食をとり、食事と食事の間をなるべく短くしましょう。頻回の食事を摂ることにより食べる量も確保でき、また多くの炭水化物を一気にとる危険性も減らすことができます。この食事のリズムをご家庭で小さい時から整えることは将来お子さまが自分自身の健康管理ができるようになるための準備にもなります。
間食の例:チーズ、ヨーグルト、牛乳、唐揚げ、チー鱈、カルパスなど
MCTは脂肪の一種で肝臓に直接エネルギーを供給することができ、肝臓のエネルギーが不足がちのシトリン欠損症に有用とされ、代償期患者にも有効であることが報告されています。
MCTを食品から摂取することは難しくサプリメントとしてMCTオイルを摂取することが推奨されます。MCTについては MCTとはをご覧ください
高タンパク質、高脂質、低炭水化物食
タンパク質・脂質・炭水化物は3大栄養素と呼ばれ、エネルギー(カロリー)はこの3つの栄養素から作り出されます。
日本の大半の乳児期の患者はMCTミルクから栄養を摂ります。MCTミルクのタンパク質・脂質・炭水化物が占める割合(PFC比)はシトリン欠損症の体質に合うPFC比で成り立っているため、この間体は十分なエネルギーを確保する事が出来ます。
しかしミルクからごはんに栄養源がシフトすると、シトリン欠損症にとっては通常の食事では良いPFC比ではなくなります。これは特にお米をよく食べる日本の典型的な食事は炭水化物の占める割合が多くなるためです。シトリン欠損症は肝臓で炭水化物を効率よくエネルギーに変えること(「代謝」)ができません。そのため食べるお米の量が減り、また通常盛られる量のタンパク質や脂質源のおかずが足りなくなり、エネルギー不足にも陥ります。
自分にとってバランスが良く十分なエネルギー(カロリー)をとるために、シトリン欠損症の患者さんはいわゆる一般の量の炭水化物は完食せず、代わりにベーコンや魚、チーズなど多めの脂質やタンパク質が入っている食べ物をたくさん食べて、ここからカロリー摂取をしようとするようになります。食事の量や種類の目安はこちらもご参考にしてください。
バランスの良い食事が違うため、一般には「食の好みが強い」と思われがちですが、患者さんはこのようにして体の調子を整えるために自分にとって良いバランスを保っています。
日本人のシトリン欠損症患者の食事(総カロリー)におけるタンパク質、脂質、炭水化物のバランスの平均は岡野先生の研究により、以下のように明らかにされており、理想的とされます。
日本人のシトリン欠損症患者の食事(総カロリー)におけるタンパク質、脂質、炭水化物
日本人のシトリン欠損症患者の食事(総カロリー)におけるタンパク質、脂質、炭水化物
タンパク質: 20%, 脂質: 50%, 炭水化物: 30%
この栄養のバランスはできるだけ朝・昼・夕の各食事内でとることができると体調の安定につながります。
食品のPFC比は食品のパッケージの裏などによくある「成分表」のタンパク質、脂質、炭水化物の量から計算する事が出来ます。ここからPFCエネルギー比の計算方法をご覧ください。
白米
白米
タンパク質: 6%, 脂質: 2%, 炭水化物: 92%
唐揚げ
唐揚げ
タンパク質: 26%, 脂質: 58%, 炭水化物: 16%
無調整牛乳
無調整牛乳
タンパク質: 20%, 脂質: 50%, 炭水化物: 30%
調味料と野菜
岡野先生の食嗜好に関する論文によるとシトリン欠損症患者が好む食事の味付けは塩コショウなどのシンプルなものということがわかりました。同じ食材でもみりんや味噌などを使用した味付けにすると好みません。また甘い味には敏感で、栄養素のバランスに影響がさほどなくても、避ける傾向にあります。
野菜は味付けにより好みが変わる事や、その野菜の成分として糖質が高いと嫌がる事があります。逆にトマト、ブロッコリー、アスパラガスのように比較的タンパク質が多い野菜は好むことが多いようです。その他の野菜は好みに関わらず少しずつ食べさせることを続けて下さい。
診察を受ける際に栄養相談も受ける事が可能であれば食事記録を持参し、栄養計算をしてもらい、エネルギー(カロリー)が足りているか、またバランスが良いかをみてもらいましょう。
栄養
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