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シトリン欠損症患者のエネルギー、蛋白質、脂質、および炭水化物の摂取量の分析

シトリン欠損症患者のエネルギー、蛋白質、脂質、および炭水化物の摂取量の分析 シトリン欠損症患者のエネルギー、蛋白質、脂質、および炭水化物の摂取量の分析 *このページに記載のコンテンツは岡野先生のご厚意によりご自身の論文(原文英語)を一般の方にもわかりやすい形で日本語にてまとめていただいたものです。このように常に私たちに寄り添い、また忙しい診察の傍らで研究を熱心に行い、シトリン欠損症の解明や治療に向けて全力を注いてくださる岡野先生に敬意を表します。 シトリン欠損症患者のエネルギー、蛋白質、脂質、および炭水化物の摂取量の分析:成人発症II型シトルリン血症の予防に向けて 岡野善行1,2、岡本美紀2、矢崎正英3、乾あやの4、大浦敏博5、村山圭6、渡辺順子7、徳原大介8、竹島泰弘2、シトルリン血症の会 1 おかのこどもクリニック、 2  兵庫医科大学小児科、3 信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所、信州大学医学部保健学科 検査技術科学専攻 生体情報検査学、4 済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科、5 仙台市立病院臨床検査科、6千葉県こども病院 代謝科、 7久留米大学医学部小児科 質量分析医学応用研究施設、8 大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学 2018年に皆様の協力のもとに食事内容や食品の好き嫌いについてのアンケート調査を行いました。ようやくその一部がまとまりましたので報告致します。今回は、患者の皆さんが日々食べている食事内容についてまとめています。お時間のない方は最後の「まとめ」だけでもご覧ください。また、より詳しくお知りになりたい方は原文(英語)をお読みください。(原文アドレス https://doi.org/10.1016/j.ymgme.2021.03.004 )。 1.方 法 1-1.参加者 [...]

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MCTオイル と ココナッツオイル

MCTオイル と ココナッツオイル MCTオイル と ココナッツオイル MCTとは? MCT(中鎖脂肪酸)とはココナッツオイルなどに含まれる脂肪酸です。MCTは6-12の炭素数を持ち、他の食物に多々含まれている長鎖脂肪酸とは別の経路で代謝されます。MCTは直接肝臓に届き、速やかに効率よくエネルギー源となり代謝されます。 MCTには主に以下の4種類があり、含有割合に違いはあるもののこの4種類はすべてココナッツオイルに含まれています。 a. カプリル酸 (C8) b. カプリン酸 (C10) c. カプロン酸 (C6) d. ラウリン酸 (C12) MCTオイルとは? MCTオイルとはC8とC10が多く含まれるように精製抽出されたココナッツオイル合成油です。この工程でココナッツの脂肪分を除外し、またココナッツに多く含まれ代謝が比較的遅いC12を除去しています。 MCTオイルとココナッツオイルの違い ココナッツオイルは、飽和脂肪酸、モノ飽和脂肪酸、ポリ不飽和脂肪酸の混合物です。 飽和脂肪酸はカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の7つの脂肪酸からそれぞれの含有割合で構成されています。 ラウリン酸(C12)は、ココナッツオイルに含まれる主要な脂肪酸で、ココナッツオイルの44.1% – 51%を占めていますが、この脂肪酸は中鎖脂肪酸とも長鎖脂肪酸とも定義されることがあります。炭素原子数は中鎖脂肪酸定義内の12個ですが、中鎖脂肪酸のほとんどは消化中に直接門脈に吸収される一方、ラウリン酸の吸収挙動は長鎖脂肪酸と類似しています。 したがって、ココナッツオイルを摂取することは、MCTオイルを摂取することと同じとは言えません。 [...]

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シトリン欠損症の二人のこども

シトリン欠損症の二人のこども シトリン欠損症の二人のこども 患者談 以下はお寄せいただいた個人の体験談です。必ず主治医と相談し適切な判断を仰いでください。 私の子どもの姉弟が二人ともシトリン欠損症です。 私の体験を読んでいただくことによって、少しでも参考や励ましに繋がっていってもらえたらと思います。 母親の私自身は今まで病気らしい病気とは無縁で、歩荷(ぼっか)という山小屋の荷物を担ぐアルバイトもしていたこともあって出産は「どうにかなる」と安易に考えていました。 しかし破水してから1週間産まれず、心拍が微弱になったため緊急帝王切開で娘は産まれました。 生後よく吐くため、1ヶ月検診のときと、治験に参加していたので生後2ヶ月の問診のときに医師に伝えましたが、特に何も言われずに過ぎていきました。私の母はちょっとお腹の見た目がおかしい、ぶよぶよしている、こういう子は見たことないと言っていました。 生後4ヶ月のころ、その頃はよく耳の後ろを掻いていました。足の付け根あたりのそけい部が盛り上がっていて、ヘルニアのようだったので近くのクリニックで診察してもらうと「ヘルニアはオペでうまくやってくれるけど、このお腹のかんじはおかしい」と母と同じ事を言って、近くの大学病院への紹介状を書いてくれました。その頃はおそらく腹水で押されてヘルニアになっていたのでしょう。次の日に大学病院で採血してもらい、肝機能やアンモニア値が高く、即日入院になりました。 原因は「乳び腹水」と言われたり、サイトメガロウイルスに感染していたりしたので「サイトメガロ肝炎」かもと言われました。しかし原因は突き止められずに何ヵ月も肝機能障害が改善せず、移植をしたほうがよいのではないかと主治医からお話がありました。生後7ヶ月で移植のための病院へと転院、移植オペの前日にシトリン欠損症と判明しました。転院先の病院からの追加検査の中にシトリン欠損症の遺伝子検査が含まれていて、やっと病名が判明しました。 原因不明での移植と言われておりましたが原因もわかり、シトリン欠損症は移植することによって完治と聞き、少しホッとしました。生後8ヶ月で肝臓移植となりました。 移植後は順調に回復し1ヶ月で退院。 1年ほど経つと次の子はどうしようかと考えるようになりました。 病院を介して知り合った臨床心理士さんに相談して自分の気持ちに気付き、妊娠を目指そうと前向きに考えられるようになりました。私自身の病気で手術もしましたが、その後に妊娠。 出産は娘の移植をした国立病院に決めました。出産前に遺伝子科を受診し、出産してすぐに遺伝子検査をすることをお願いしました。 産まれてすぐの肝機能は正常値。マススクリーニングもすべて陰性だったため、新生児科の先生からシトリン欠損症の可能性がないので、遺伝子検査をしなくても良いのではないかと提案がありました。私はマススクリーニングが陰性であってもシトリン欠損の場合があるので遺伝子検査を希望しましたが「娘さんが産まれた5年前のマススクリーニングより性能が上がっている」との説明を受け、遺伝子検査を受けないことを了承しました。しかし、納得がいかなく不安だったので夫と相談して、受けないことを了承したその日に再度遺伝子検査をお願いしました。しかし、検査のための採血はすぐに出来なく、かなり遅れることになってしまいました。 生後1ヶ月検診では肝機能は上昇していました。顔の黄疸が出ていること、便が生後3週間後から白くなってきていることを伝えましたが、様子見でとのことでした。次回の採血は1ヶ月後で大丈夫と言われましたが、移植外科の先生にも相談させていただいて10日後にしてもらいました。それまでの間は、娘の幼稚園の運動会にも参加せずに、私は運命の日を待つかのような気持ちで過ごしていました。 10日後の採血では、悪い予感は当たってしまい、肝機能がさらに上昇していました。また、血液が固まる速度が遅いため脳出血の可能性もあるとのことでそのまま入院となりました。と、同時にシトリン欠損症の遺伝子検査の結果も出ていまして、先生の予想とは違い陽性の結果でした。 シトリン欠損症の知識がありながらも一度は遺伝子検査をしないということを了承してしまったことは、みすみす息子を危険に晒してしまったことだと今でも申し訳なく思っています。 幸いなことに緊急入院から1週間ほどで肝機能も回復していき、2週間で退院することができました。 退院後は必須アミノ酸強化MCTミルクと母乳を両方飲んで、体重増加も順調。 [...]

シトリン財団に望むこと

シトリン財団に望むこと シトリン財団に望むこと 患者談 以下はお寄せいただいた個人の体験談です。必ず主治医と相談し適切な判断を仰いでください。 シトリン財団がシトリン欠損症患児と家族同士が知り合う機会をつくり、その中でお互いの経験を共有し学びあうことができるようサポートしていただけることを願っています。これは皆がそれぞれ別の主治医にかかっており、子供たちの年齢層も幅が広いためです。 今年(2018年)初めに皆さんと会う機会があり、その時初めてシトリン欠損症の子供でも乳製品を摂ることができるようになることを知りました。また自分たちの子どもよりも大きいお子さんたちのより通常に近い食生活を聞き、少し明るい気持ちになることができました。 先日、患者である子どもが姉のように元気な普通の子になれるかと聞いてきました。私は大変ショックを受けましたがあとから聞くと、学校の先生がお誕生日会の際に用意されたビスケット、ケーキ、お菓子類に全く手を付けないよう子どもを指導したそうです。学校や先生方には子供の状態に関してよく説明をしておりましたが、この時子どもは非常にさみしい思いをしたそうです。 これは、うちの子どもが成長する中で避けられないシナリオの一つでしかありませんが、それでも、親としては他の子供と同じように普通で健康な生活を送れることを願っています。シトリン財団が提供する機会を私達全員が経験を共有し、サポートしあう場として活用し、子供たちのより良い将来の為にシトリン欠損症が引き起こす状態をより良く管理できるようになればと願っています。

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