あの電話を忘れることなく
ジェフ・サオ&サンドラ・テクシェイラ夫婦 私たちの娘は出生体重1446g、34週という早産で生まれました。すぐにNICUに入りましたが、私たちはこれが最難関でこれさえ乗り切れば、と思っていました。 ある日、NICUへ立ち寄る途中新生児マススクリーニングの異常所見について連絡が入りました。私たち夫婦は理系出身ですが、シトルリンについてはあまり気にしたことがありませんでした。その後の数週間にわたる苦悩の道のりは、語りつくせないほどです。その連絡とはシトルリンが異常値を示しており、これはシトルリン血症I型またはII型(=シトリン欠損症)であり、またこの2つの型の治療は非常に異なる、という内容でした。II型は当時娘を治療していた医師にはほとんど知られていないものでした。II型と確定するには遺伝子検査しかなく、それには3週間ほどかかるともいわれました。その間何も治療をしなければ予後が悪くなるとの事で、まずI型の治療が始まりました。しかしその治療はタンパク質制限が必須であり、代わりにその分のエネルギーを炭水化物で補うことになりました。またそれから数週間、毎日幾度も採血をし、アンモニア濃度を計測する事にもなりました。 妻も私も文献を読みあさり、そして娘はシトルリン血症I型ではなくシトリン欠損症の可能性が高いのではないかと思い始め、佐伯先生にコンタクトをとりました。佐伯先生はすぐにアメリカ国内で当時勤務していた大石先生に連絡を取って下さり、そして大石先生との電話で私たちはこの病気は対処が可能であり、娘は人生を全うする事ができる、という希望を持つことができました。診断とそれに伴う治療に変更した結果、娘は回復への道を歩み始め、早期に退院する事が出来ました。現在娘は元気で好奇心旺盛な3歳半です。 私たちは患者や家族のためにこのような情報を提供し、世界中の医師間でシトリン欠損症の知名度を高め、研究支援を通し治療法開発に力を注ぐシトリン財団に心から感謝しています。 私たちは是非他の患者家族とつながり、学び合い、経験を共有していきたいと思っています。娘が成長するにつれ、他のご家族がどのようにお子さんに説明をし、社会におけるプレッシャーに対処し、自分にとって正しい心身のバランスを見つけられるようサポートをしているのか、ぜひ教えていただきたいと願っています